「もてなしのこころ」
 タイ・バンコック。暑く喧噪の都市を18年ぶりに訪ねた。10月4日。タイ政府観光庁でセタポン政府観光庁投資管理部長からタイ観光について伺った。
 「タイは、観光収入が外貨収入のトップ。観光資源は多くの蓄積があるが何といっても、一番が人間であって、もてなしのこころだ」といわれる。
 セタポンさんにタイ語で観光の語源は何かと聞くと、トンティオ(旅行)だという。
 日本語の観光は、光を観ると書く。語源は、「易経」の「観国之光、利用賓干王」(国の光を観す、もって王に賓たるに利し」(藤堂明保編「漢和大辞典」)すなわちその国の優れた景観・文化などをみせることに基づく、とある ちなみに、英語での観光tourismの語源tourは、もともと円を描く用具のラテン語tornusから発生したものといわれる。このことは19世紀の中頃になって、それまで帰れる保証もなく苦労して旅行していた人(travelerの語源travailには苦労するの意がある)が、円を描くときのように出発点に戻れる観光客(tourist)となったことを示している。
 タイの観光の語源は、ラテン語のtravail(苦労する)の意味があるようだ。
 10月7日、マレーシア政府観光局を訪ねた際、アダブラ総裁も同じことをいわれた。マレーシアの観光資源はマレーシア人の笑顔だという。「ただし、タイの笑顔は笑顔だけ、シンガポールはお金をだせば笑顔」と笑わせた。マレー語の旅の意味には苦労がないのだろう。
 では、観光資源とは一体何んなのだろうか。東京工業大学名誉教授の鈴木忠義氏によると
「魅力ある観光資源とは、自然や文明の積み重ねによる歴史や文化そのものであり、現代のお金や技術では簡単に創ることのできない、固有性、独自性を持つもの、特に代替がきかないということが特徴。観光者側からいえば、見ることによって何かを感じとり、自己発見へのいざなう対象となるもの」と定義づけている。
 観光旅行の対象となる観光資源は、自然や人間が長い時間をかけて創り出した、現代の技術で簡単につくりだすことのできない文字通り国の光だ。
 観光資源の種類としては、自然資源と人文資源の2種類があるが、人との出会いのない観光旅行は味けがなかろう。
 人生とは出会い、人的資源であるもてなしの笑顔を忘れてはいけない。
 この11月26日。秋田ふるさと塾人間道場を彌高会館にて開催。講師に狂言の野村万作さんの弟子・中野三樹氏を迎えた。来るべき2000年を迎え、集まった仲間は皆で狂言の笑いを習った。少し膝を落として立ちあがりながら、お腹の底から声を出す。
 「はァ はァ はァ はァはァー」